誤差レジスタ必然性定理(Error Register Necessity Theorem)
有限情報(finite-information)宇宙では、E = mc^2 の長期的安定は「誤差(ミスマッチ)を記録するレジスタ」を要求する。
本稿が扱う “誤差(error)” は、測定誤差(measurement noise)でも、 標準的な正準量子化(canonical quantization)でもありません。ここでの中心は、 有限表現(finite representation)へ写す際に生じる「表現ミスマッチ(representation mismatch)」です。
要約
YAGCは宇宙を「有限容量の情報媒体」として捉えます。 そのとき、理想的な更新(理想力学)をそのまま実装できず、必ず有限の表現空間に射影されます。 この 理想更新と有限表現の差が、各ステップ(χ-beat)で小さなミスマッチとして現れます。
主張(直観)
ミスマッチを「どこかへ捨てる」設計だと、長期では帳尻が合わず、 保存則(とくに E=mc^2)がドリフトします。 したがって、ミスマッチを累積して保持する“誤差レジスタ”を導入し、 合計エネルギーを閉じる必要があります。
このページの目的
英語原稿(V57_V6R1)の内容を、日本語で「誤解されにくい言葉」に置き換えて説明します。 とくに “quantization(量子化)” という語が引き起こしがちな誤読(別解釈に見える問題)を避け、 あくまで 有限表現の帳簿閉鎖として整理します。
アブストラクト(日本語)
本稿は、有限情報宇宙において、理想更新を有限表現へ写像する際に生じる 表現ミスマッチが、長期的な質量–エネルギー関係(E=mc^2)の維持に 構造的な要請を与えることを示す。 ミスマッチを明示的に累積するレジスタ(error register)を導入し、 追跡エネルギー E_tracked 単体では閉じない帳簿を E_total = E_tracked + ε_accumulated として閉じる。 数値実験 SM-E2 により、レジスタ有無で長期挙動(保存・ドリフト)が明確に分岐することを示す。
“Quantization” を語る場合も、本稿では「古典理論→演算子」の意味ではなく、 有限コード空間への射影(finite-code projection)として用います。 したがって、ここでの ε は“物理定数の揺らぎ”ではなく、表現の残差(residual)です。
モデル:有限情報 χ-beat 力学(概念図)
1回の χ-beat において、宇宙状態は「理想更新」→「有限表現への写像」という2段で進むとします。 ここでのポイントは、有限表現が“近似”ではなく、宇宙が有限情報である以上 不可避の実装制約として入っていることです。
表現ミスマッチ(ε)の定義(符号統一)
本ページでは、英語原稿(V6R1)と整合するよう、以下の符号を採用します。 こうしておくと、合計量を + で閉じられます。
2つの実装(捨てる vs 保持する)
追跡変数に乗らない残差を無視する設計。長期では E_tracked がドリフトし、 保存則の“閉じ”が崩れる。
残差を明示的に記録し、合計量で帳簿を閉じる設計。 E_total が長期で安定しやすい。
誤差レジスタ必然性定理(主張の核)
直観的には「有限表現に起因する残差が毎ステップ生じるなら、どこかで帳尻を合わせないと長期で崩れる」という話です。 形式的には次のようにまとめられます。
有限情報 χ-beat 宇宙で、理想更新が連続極限で相対論的な不変量(例:静止エネルギー)を保つとしても、 実際の更新が有限表現写像 Q を必ず通るなら、追跡エネルギー E_tracked だけでは 長期の帳簿閉鎖が一般にできない。長期安定な E=mc^2 を維持するには、 ミスマッチを累積する誤差レジスタ ε_acc を導入し、 E_total = E_tracked + ε_acc を保存量として閉じる必要がある。
SM-E2:数値実験による示唆
SM-E2 は、同一の生成過程に対して「誤差レジスタを入れる場合」と「捨てる場合」を比較し、 長期挙動に系統的な差が出ることを可視化します。 重要なのは、ここでの差が“初期値の偶然”ではなく、帳簿閉鎖の設計差として現れている点です。
ここで “WITH register” が示しているのは「誤差が消える」ことではなく、 誤差を“見える場所(記録変数)へ移している”ということです。 つまり、保存則を保つための“収納先”を明示した、と読むのが本稿の意図です。
含意:観測・時間・重力との接続(短い解説)
観測=比較(Observation Principle)
「同じ系の内側にいると、その系そのもののズレは直接測れない」という直観は、 相対論における固有時・GPS補正などと相性が良い。 誤差レジスタは“局所で直接観測できる量”ではなく、比較(同期・参照)の構造の中で推定される量として扱われます。
暗黒セクターへの言い換え(V56との接続)
V56 で提示された「誤差累積の大域的効果」という読みは、 本稿の “ε_acc” を「局所に見えないが大域に効く量」として解釈する道を与えます。 本ページでは主張を最小限にし、 誤差レジスタはまず“帳簿を閉じるために必要”という点に焦点を置きます。
本稿は「標準理論の置換」ではなく、YAGCの有限情報仮説の下での構造的主張です。 したがって “必然性” は「この仮説クラスで保存則を長期安定させたいなら」という条件付きで理解してください。
索引(Index)
英語原稿の Index に対応する、日本語の簡易索引です。
- Error register(誤差レジスタ):ミスマッチを累積保持する追加変数。ε_acc
- Representation mismatch(表現ミスマッチ):理想更新と有限表現の差分。ε_t
- Finite representation map Q:有限コード空間への射影(実装制約としての写像)。
- χ-beat:YAGCでの離散的な更新単位(ビート)。
- E_tracked:追跡できる(記録される)エネルギー。
- E_total:帳簿を閉じる合計量。E_total = E_tracked + ε_acc
- Observation principle(観測=比較):参照系側の量は比較構造の中で推定される。
引用情報
DOI:https://doi.org/10.5281/zenodo.17918424
このページは、英語論文(V57_V6R1)の内容を日本語で要約・解説したものです。 図はサイト直下の img/ フォルダーに保存されたファイルを参照します。